タイの陸運局(DLT)が管理する車両登録データが不正に取得・流出した問題で、政府が関係機関のアカウント停止と捜査に乗り出しました。流出情報にはアヌティン首相名義の車の登録内容も含まれていたと報じられています。
何が起きたか
Nation ThailandやBangkok Postの報道によると、2026年8月5日、タイ陸運局(DLT)が管理する車両登録データベースから車両所有者の個人情報が不正に取得され、ネット上で共有されていたことが明らかになりました。流出情報には、アヌティン・チャーンウィラクン首相名義の車(ロールスロイス)や、内相としての首相自身、副内相2人に関連する登録情報が含まれていたと報じられています。流出データには氏名や住所など基本情報に加え、国民IDカードから取得された写真データも含まれていたとされます。
運輸省副大臣シリポン・アンカサクンキアット氏は流出を公表し、DLT局長ソラポン・パイトゥーンポン氏は、不審なIPアドレスから車両登録記録への異常な検索が確認されたバンコクノーイ区の取締部門、高速道路公社(EXAT)、スラシー・フォースの3機関のアカウントを一時停止したと説明しています。DLT局長は、流出したのは「基本情報のみ」で、本人確認なしにこれだけで取引を行うことはできないとしています。
流出の経緯・当局の対応
デジタル経済社会省のチャイチャノック・チットチョープ大臣によると、調査の結果、システム自体が直接ハッキングされた形跡はなく、同一のIPアドレスから既存アカウントへ2回のログインが行われた後に情報が流出した可能性が高いとされています。サイバーセキュリティ規制委員会は国家サイバーセキュリティ庁(NCSA)にThaiCERTチームの派遣を指示し、DLTへの立入調査、技術情報の分析、流出経路の特定を進めています。不正アクセスに使われたとみられる経路はすでに閉鎖されたと説明されています。
個人情報保護委員会(PDPC)事務局長スラポン・プレンカム氏は、DLTからの報告を受けて関係当局と直ちに連携したと述べています。当局は、情報流出への関与や違法な情報公開について、コンピュータ犯罪法違反での告発を検討しており、同法第14条には最長5年の禁錮や最大10万バーツの罰金などの罰則が定められています。DLTと接続する全ての機関に対してはパスワードの再設定が求められたほか、DLTは今後、外部機関とのデータ共有の仕組み自体も見直す方針です。
なお、この件とは別に、タイ証券保管振替機構(TSD)からも約20万人分の投資家情報が流出したとされる問題が別途報じられています。
車両所有者・在住者への影響
タイで車両を登録している人は、氏名・住所などの基本情報が流出した可能性があります。DLTは流出データだけでは本人確認を伴う取引はできないとしていますが、流出情報を悪用した不審な電話やメッセージ(車両情報を示して個人情報や金銭を求めるなど)には注意が必要です。不審な連絡を受けた場合は、相手が示す連絡先やリンクを使わず、関係機関の公式窓口を自分で調べて確認し、個人情報の提供や支払いに応じないことが重要です。今後の調査の進展や対象範囲については、DLTやPDPCの公式発表で確認してください。
情報源
- Nation Thailand「DLT suspends three agency accounts after vehicle data leak」
https://www.nationthailand.com/news/general/40069450
- Nation Thailand「State data leaks deepen Thailand's cyber-security crisis」
https://www.nationthailand.com/news/general/40069456
- Nation Thailand「Thai cyber team probes alleged leak of vehicle registration data」
https://www.nationthailand.com/news/general/40069394
- Bangkok Post「Car owners' private data leaked, including PM's Rolls-Royce」
- Bangkok Post「Three state agency accounts frozen after vehicle data leaks」